【エッセイ】ジェンダーとマーケティングターゲットの変遷
昨今の社会情勢のなかでSDGsという言葉が世の中にあふれているのは御存知の通り。私も大学でCSRやSDGsの実践について教鞭をとりはや10年くらいになりました。年々社会への影響度合いが増しているのがSDGs。SDGsについては多くの人が間違って理解している点もまだあり、項目の中には個人も企業も手出しが出来ない領域があって行政や立法府マターの項目も少くないものです。
興味深いのがLGBTQ+の扱い。実はLGBTQ+についてはSDGsの項目の中に含まれていないのです。その理由としてはSDGsは国連として加盟国はそれぞれ努力目標を決めて各国ですすめていこうよというもの。加盟国の40%程度の国々では同性愛および同性との性的関係を禁止する法律を制定しており、約10カ国では死刑、その中の数カ国で実際に死刑が執行されている国がまだあるからとも言わています。
LGBTQ+の方々が生きにくくなっているのはジェンダーをステレオタイプしているからとも言えます。もう少し社会が女性はこう、男性はこうと決めてかかった形ではない多様性を認める社会になっていけばすべての人々が行きやすい社会が構築できるのではないかなと個人的には思っています。商売とジェンダーはまだまだ切っても切り離せない状況にあります。一部の先進的な玩具メーカーでは女の子向けとか男の子向けという表現をやめたところもありますが、商業の世界ではまだまだ遅れています。
本日、とある外食産業の店舗が新店を出したというプレスリリースを出されていました。そのキャッチが頑張る女性を応援する。というものでした。おそらく大意はなく、キャッチーで従来の顧客層をみながら考えたキャッチなんだと思います。これだけ多様性というものを考えましょうと言われている世の中で女性だけにターゲットを絞った店舗ってと思わざるを得ませんでした。そこはもう少し幅広く自社のサービス、製品を捉えて、対象となる顧客層をもう少し幅広くしていったほうがその会社のためにもなるのにと考えさせられたリリースでした。
社会は常に変わり続け、社会の求める価値というものも常に変わり続けます。江戸時代、明治時代、昭和時代そして現代のジェンダーロールは変わり続けており、そのタイミングで消費の意思決定をする人も家族の中、共同体の中で変わり続けています。そこを見誤ると自ら顧客ターゲットを絞りすぎてしまう可能性だってあります。社会とディーセントに向き合うことがこれからの商売にとって必要になってくるのかもしれないと思わされました。