「鎌倉発」「京都発」の注目2ブランドが福岡初進出 再編進む福岡商業地図の中で博多エキナカに新たな食の磁場が誕生
福岡市・博多駅構内の商業施設「マイング」に、4月25日(金)、食品エリア「エキナカキッチン」内に福岡初出店となる2ブランド「博多mille mele ミレメーレ」と「RABBIT BAGELS(ラビットベーグル)」がオープンする。ともに都市部で話題性を持つ業態であり、鎌倉や京都といった観光地発のブランドが、駅ナカという高集積・高回遊の立地を舞台に新たな顧客接点を築く形だ。
出店先のマイングは、JR博多駅の1階に位置する土産・食品特化型のエキナカ施設。九州最大級の鉄道ターミナルである博多駅に直結し、在来線・新幹線・地下鉄に加え、福岡空港からも地下鉄で5分と極めてアクセス性が高い。通勤・観光・出張など目的の異なる来訪者が交錯するこの駅構内において、マイングは「観光の玄関口」としてだけでなく、近年では“地元使い”を見越した食品売場やスーパーマーケットなどの導入を進め、滞在時間の長い買い回り空間への進化を遂げている。
今回出店する「ミレメーレ」は、料理分野の国際大会で数々の受賞歴を持つマルコ・パオロ・モリナーリ氏が手がける、鎌倉発のアップルパイ専門店。「世界一のアップルパイ®」を冠した代表商品は、大ぶりカットのリンゴに特製カスタード、豆乳チーズクリーム、さらにフランス産発酵バターを使用したパイ生地を組み合わせた、素材重視かつ高付加価値の構成が特徴。今回、福岡進出に際しては、地元の明太子やあまおう苺を使用した限定フレーバーを展開する点も注目に値する。
一方の「ラビットベーグル」は、京都市内に5店舗を構える人気のベーグル専門店で、北海道産小麦、沖縄の塩・きび砂糖など国産素材にこだわった「ふわもち」食感が特徴。ニューヨークスタイルをベースとしながらも、和の素材を取り入れた独自フレーバーを提案しており、地域性と日常性の両立を志向する業態といえる。ベーグルはパンの中でも差別化が進んでいるカテゴリであり、観光客の軽食需要と地元住民の普段使い需要をともに掴む可能性がある。
こうした新規出店の背景には、福岡市内の都市構造の再編が影を落としている。現在、福岡市の中心市街地・天神地区では「天神ビッグバン」と呼ばれる再開発プロジェクトが進行中で、多くの商業ビルが一時閉館あるいは建て替えの途上にある。従来、商業の中心であった天神エリアの機能が一時的に縮小している中、都市内の消費重心は博多駅前にシフトしている。
こうした中で、エキナカというトランジット機能を超えた滞在型商業空間の重要性が高まっており、特に“地元でも観光でも使える”業態の導入は、再開発下の福岡において戦略的な価値を持つ。再編中の天神と、集積を深める博多駅前。その構造変化のなかで、マイングが担う「食」のポジションはますます多様化し、都市全体の商業機能の補完としても注視される局面を迎えている。以下、株式会社博多ステーションビルのプレスリリースから画像を引用。