「バターのいとこ」が横浜地区へ初進出。百貨店地下で加速するクラフトスイーツの展開
那須発のクラフトスイーツブランド「バターのいとこ」が、そごう横浜店の地下2階洋菓子売場に新たなショップを開いた。同ブランドは、スキムミルクの利活用を軸とした商品開発で知られ、クラフト性と社会性を併せ持つスイーツとして全国的な認知が高まっている。今回の横浜地区初出店では、横浜産はちみつ「はま蜜」を使用した限定フレーバーを導入し、地域との結びつきを前面に出す構成となった。
バターのいとこは、専門店チェーンとして店舗数を積み上げる類型とは異なり、百貨店や空港など、高質な商環境への展開を中心に広がりを見せてきた。卸販売による広い露出と、百貨店地下での直営的な売場を組み合わせるハイブリッド型の広がり方が特徴であり、プロダクト主導型ブランドとして独自の立地戦略を形成している。大量生産を前提とせず、手作業比率が高い製造体制を維持しながらも、都市部の高感度エリアで存在感を高めていくスタイルは、従来のスイーツ専門店とは異なる軸で市場を捉えている。
百貨店地下は、手土産や自家需要が混在する高回転売場であると同時に、限定商品や地域素材との相性が良く、物語性を持つブランドとの親和性が高い。バターのいとこが全国各地で展開する地域限定フレーバーは、百貨店が求める編集型のMDに合致し、地域性を訴求できる強みとなっている。今回の横浜では、横浜市緑区のコジマファームによる非加熱・無添加の「はま蜜」を使うことで、地域素材を生かしたストーリーを付加し、既存顧客と観光客の双方に向けてブランドの幅を示す取り組みとなった。
同ブランドが掲げる「三方良し」のコンセプトは、スキムミルクの利活用によって酪農家を支援し、雇用の受け皿として地域に根差す生産体制を整え、消費者にはクラフトスイーツとしての体験価値を提供するという循環を意図している。百貨店地下という消費者との距離が近い売場において、この文脈は伝わりやすく、商品単体以上の意味づけが成立しやすい。サステナブル志向が浸透しつつある昨今、背景価値を重視する消費行動との相乗効果も期待できる。
直営拠点の分布をみると、大丸札幌、高島屋大阪、大丸心斎橋、成田空港など、いずれも広域商圏の集客を見込める立地が中心である。専門店を大量に展開するモデルではなく、各地の百貨店や大型ターミナルにおける“編集売場”として存在感を高めていくことが同ブランドの主戦場になっている。今回のそごう横浜店への導入も、その流れの延長線上にあり、都市型百貨店との関係性を強めながらブランド価値を浸透させる狙いがうかがえる。
横浜駅周辺は、百貨店・駅ビル・地下街が密集する高密度商圏で、スイーツ系テナントの競争は全国でも屈指である。高いブランド回遊の中で個性を示すには、限定性・地域性・背景価値の三点が鍵になるが、バターのいとこはこれらを兼ね備えており、商圏特性と調和した導入といえる。今後も百貨店地下を軸とした展開が続くとみられ、クラフトスイーツブランドの新たな拡がり方として、商業施設関係者にとっても注視すべき動きである。同社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
<ショップ情報>
バターのいとこ そごう横浜店
〒220-8510 神奈川県横浜市西区高島2-18-1 地下2階 洋菓子売場
営業時間:午前10時~午後8時(定休日などはそごう横浜に準じる)







