グループ企業のリソース活用方法
大きな企業グループとなるとなかなかグループ内部で協働であらたな動きを出すことができません。その理由は各グループ色々な理由があるとは思いますが、1つはカニバリゼーション。お互いの利益の方向性が被ってしまいカニバリゼーションすることにあります。業務領域がどうしてもグループ内部で被り協働で事業をすることでお互いの売上・利益が減少する可能性があることを嫌いうまく協働することができません。もう一つの大きな理由はガバナンス。複数の企業を統制しながら共同することが持ち分や文化上しづらい場合もあります。そもそもグループのつながりがゆるく、統制が効いていない可能性もあります。そんな理由でグループ内の企業の持ち味をうまく活かせないなんてことは往々にしてあります。
そこで生まれたのが共創。古くは市区町村が民間セクターと協働で新たな価値創造をするために積極的に行い始めたのが始まり。特定の民間セクターと契約無しでやりとりすることが難しい市区町村が民間のCSR活動などに連動して市区町村の持つ資産・知名度・市民活動を活用して新たな価値を生み出そうとしたことが事の始まりです。今回は同じような仕組みでグループ内のリソースをスタートアップ企業(既存の取引などと利害関係が薄い企業)と協業で新たな価値を生み出す方法がないかと模索を始めるという話です。東武鉄道株式会社が沿線の観光需要を喚起するアイデアを募集し、グループ保有の観光資源とマッチング・実証実験を行い新たな観光サービスを創出するというものです。そもそも自社で出来そうなことなのですがテクノロジーを持つ企業をつかってグループ間を観光・商業×大量輸送×テクノロジーでつなげるか?というところが注目されルポイントになるのかと思います。
鉄道ビジネスのひな形は小林一三が阪急で作り上げて以来、刷新されることなくひな形通りに繰り返されてきたビジネスモデル。テクノロジーの進化とともにビジネスモデル自体が変わらないと行けないのですがそれがとまったままになっている業界です。コロナ禍以降人が動かなくなり、小林一三モデルも破綻しつつあります。沿線の端っこに観光地、逆の中心地に百貨店・商業施設、オフィス立地という箱物。それらをつなぐ沿線の駅周辺の宅地開発というビジネスモデルをテクノロジーでどうパラダイムシフトできるのか?今回の共創はもしかしたら次の小林一三モデルができるきっかけになるのかもしれません。
以下、東武鉄道株式会社のプレスリリースより画像と募集要項を引用。
TOBU Open Innovation Programの実施概要について
1 プログラム内容
東武グループの観光資源を活用した共創アイディアの募集と実証実験及び実装化の支援
【主な支援内容】
・東武グループの保有する各種観光資源との連携
・事業検証の場の提供や観光データ収集に関する協力
・沿線やグループ施設でのPR機会の提供2 応募要領
・応募時点で法人登記がなされていること(企業規模は問いません)
・具体的な製品、サービス、技術をお持ちであること
・観光事業の振興に寄与する提案であること3 募集期間
Webフォームにて11月より通年で募集予定 ※具体的なスケジュール・募集テーマ・選考方法などについては、11月予定の募集ページにてお知らせ いたします。