鳥栖プレミアム・アウトレットが佐賀大学と連携 地域の魅力を彩る学生デザインのタイルアートプランターが場内に設置
鳥栖プレミアム・アウトレットに、地域と施設の新たな関係を象徴する空間が誕生した。佐賀大学 芸術地域デザイン学部の学生12名が約半年をかけて制作した16点のタイルアートプランターが、場内各所に設置されたのである。本取り組みは、佐賀大学と空間デザインを手がける株式会社船場、そして鳥栖プレミアム・アウトレットの三者による産学連携プロジェクトとして実施された。
アウトレット開業20周年を契機にスタートした本プロジェクトは、「未来に伝えたい、佐賀らしさ」をテーマに、2024年9月から制作プロセスが始動。学生たちは、鳥栖市や佐賀県の名所や特産品、地域風土を独自の視点で捉え、11月には意見交換会、年明けにはデザインプレゼンテーションを実施。最終的に30案以上の提案から選定された16のデザインが、2025年3月に船場でのワークショップを経て実制作され、4月19日に施設内でお披露目された。
モチーフには「佐賀牛」や「さがほのか」、「佐賀バルーンフェスタ」「クリーク」など地域ならではの資源が並ぶ。学生による手描きのデザインをもとに、釉薬の原料に都市ごみ由来の溶融スラグを使ったリサイクルタイルや、海外で廃棄予定だった余剰タイルを活用するなど、素材にも環境配慮が込められている。アート作品としての完成度のみならず、サステナビリティの視点でも評価できる仕上がりとなった。
設置場所は施設のエントランスやフードコート前など、来場者の目に触れやすい動線上。ショッピングの合間にふと目に留まる色彩と形状が、地域への関心を喚起し、滞在価値の向上にも寄与する。カリフォルニア南部の街並みをイメージしたアウトレットの景観に、学生たちの感性が加わることで、空間に新たなレイヤーが生まれた格好だ。
学生からは「自分の作品が公共の場に設置されているのは不思議な感覚」「観光客が写真を撮ってくれるのが嬉しい」といった声も多く、施設にとっても人材育成にとっても意義あるプロジェクトとなった。施設支配人である東氏も、自身が佐賀大学出身であることに触れつつ「次の20年を見据えて、地域と共に歩む場としての施設像を形にできた」とコメントしている。
全国のアウトレットモールが次なる差別化を模索するなか、鳥栖プレミアム・アウトレットのこの取り組みは、商業施設が地域社会と共創する新たなモデルケースともいえる。今後も継続的な発信と作品のメンテナンスが行われることで、施設の魅力と地域資源の価値が長期的に磨かれていくことが期待される。株式会社船場のプレスリリースから画像引用。