「’47長野」がイオンモール須坂に出店──ニューエラ運営の“もう一つの顔”が郊外型モールへ進出
947年に米国ボストンで創業したカジュアルライフスタイルブランド「’47(フォーティーセブン)」が、2025年10月3日、長野県須坂市の「イオンモール須坂」に新店舗をオープンする。これにより’47は中部地方へ初進出し、郊外型ショッピングモールでの新たな顧客接点を構築する。
’47は、イタリア系移民の双子兄弟アーサーとヘンリー・ディアンジェロが、MLBボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイパークの周辺でスポーツグッズを販売したことを起源とするブランドだ。以来、MLBやNFLなどの公式ライセンスを取得し、ヘッドウェアを中心にアパレルを展開してきた。
日本国内では、スポーツライセンスキャップ市場で最大のライバルとされる「ニューエラ」がその運営を担っている点は興味深い。アメリカ本国では競合関係にある両ブランドだが、日本ではニューエラジャパン合同会社が’47の国内流通と店舗運営を手がけている。この構図は、両ブランドの棲み分けと市場調整の一環とも捉えられ、日本市場ならではの協調的な戦略が読み取れる。
両ブランドは明確に異なる文化的背景を持つ。ニューエラは1920年に創業し、MLB公式オンフィールドキャップ「59FIFTY」で知られるほか、1990年代以降はHIPHOPカルチャーやブラックミュージックシーン、さらにはストリートやギャング文化との結びつきが強く、強烈な個性と主張を特徴とする。一方、’47はボストン発祥という地域性もあり、東海岸の白人中流層や大学スポーツカルチャーに根ざした、より日常的で親しみやすいスタイルを展開してきた。丸みを帯びたローキャップやウォッシュ加工、控えめなロゴなど、ナチュラルな印象がその特徴である。
このようなブランドの性質は、出店先の立地とも強く呼応している。イオンモール須坂は、長野県北部の郊外型商業施設で、長野市や千曲市を含む広域の生活圏を背景に持つ。地元ファミリー層を中心に、週末のレジャー目的の来館も多く見込まれ、スポーツ観戦やカジュアルファッションを家族単位で楽しむライフスタイルと’47のブランドイメージが合致する。
新店舗「’47長野」は、深みのあるグリーンと落ち着いたゴールドのロゴが印象的なファサードを備え、ナチュラルウッドとマホガニー調の什器で構成された店舗空間で、ユニセックス・キッズを含むヘッドウェアを展開する。MLB各球団のロゴを冠したキャップやバケットハットを中心とし、’47ならではのライフスタイル提案が期待される。
ストリートから生まれたニューエラが都市を拠点に展開を広げてきた一方で、’47は郊外のモールという生活密着型の舞台で存在感を高めつつある。その違いは単なるデザインの好みにとどまらず、ライフスタイルと地域性に根ざした“住み分け戦略”とも言える。今回の出店は、ブランドの地理的・文化的拡張を象徴する試みとして、今後のモールテナント戦略にも一石を投じる存在となりそうだ。 以下、ニューエラジャパン合同会社のプレスリリースから画像と店舗概要を引用。
【’47長野ストア情報】
オープン日:10月3日(金)
住所:長野県須坂市大字福島386番地1 イオンモール須坂1F
営業時間:10:00~21:00